ギャラリー日記

□2021年10月18日(月) Natts
 9月上旬、南海電気鉄道が発行している沿線情報誌「Natts」の女性のデザイナー、カメラマンが取材に来て下さった。10月号の特集が「南海沿線 de アート!」のためである。https://otent-nankai.jp/natts 南海電鉄も、沿線情報の充実を図ることで、利用者の乗車促進を常に促している。
 ヒロ画廊も、電車で来られる方も少なくない。学文路に来られた際は、学文路天満宮をおすすめしている。

□2021年10月8日(金) 私は始まったところです
 石彫家・近持イオリ展を開催している。今回はメディアからの取材依頼も多く、掲載記事をご覧頂いた方のご来場も多い。
 近持は、今回の案内状の末文に「まだまだ本当に、私は始まったところです」と語っている。還暦を過ぎた男がこのように語ると「大丈夫か」「若いなぁ」と思う方も多いと思う。しかし、この青臭ささが近持イオリという作家の最大の魅力だと思う。特段、作家然として高所から話すわけでもなく、下から下から突き上げるような、地に足のついた語り口で自分の作品について触れられる。
 一方で、作品はキャリア40年の石彫家として、余裕がある。くにたちアートビエンナーレ2018大賞を受賞(http://kunitachibiennale.jp/bien2018/?page_id=1557)されてから、制作スタイルを「Earth Vibration」シリーズにほぼ統一している。大理石の原石であるトラバーチンを主材として、パステル調の縞模様をメインにリラックスした作品群である。今回のメイン作品である高さ約2メートルの「Earth Vibration」は、気品と生命力がほどよく混ざり合って、隆盛を願う企業に新たに所蔵されても全くおかしくない。
 初日は、近持がアートディレクションを務める株式会社関ヶ原製作所の矢橋昭三郎相談役も岐阜よりお越しになられた。彼への強い追い風が吹いている。

□2021年9月19日(日) 今村由男展
 昨日から今村由男展がはじまった。今村氏は、日本における銅版画の第一人者である中林忠良(1937- ,東京芸術大学名誉教授)に私淑し、独学で絵画を学んだ。ヒロ画廊の過去のインタビューでも語っているように美術学校は出られていない。https://hiro-gallery.com/interview/yoshioimamura/ 作家業と有限会社今村由男デザイン室の経営の二刀流が30代半ばまで続き、篠田桃紅(1913-2021)などを取り扱う東京都のトールマンコレクションに見いだされ、作家としてのキャリアを徐々に確立された。一般的な美術家が美術学校で培う技量やネットワークといった部分は、国際展や版画展への精力的な出展や行動力・制作力で補われている。
 今村氏のこういったキャリアは「画家はこうでないといけない」という概念を崩してくれる。それは私たち画廊にとっても「画廊だから、こうでないといけない」という凝り固まったイメージを崩して、刺激を与えてくれる。

□2021年9月5日(日) 川野恭和展
 9月4日から始まった、川野恭和展が盛況だ。川野氏は瀧田項一に師事、その瀧田は柳宗悦やバーナード・リーチと交流のあった濱田庄司に師事しているため、氏も歴とした民藝の思想を繋がれている。清廉とした白磁と落ち着きのあるルリ色の磁器に、温かみのある鎬や面取文様を施して、日常づかいの器作りに没頭されている。
 氏の作品を画廊で初めてご覧になられる方々からは「作家はかなり若い方なのですか」と問われることも多い。氏の年齢は現在72歳であるが、感性自体が元来瑞々しいのかもしれない。今では優秀なご息女方がプロモーションにもかかわり、ウェブ上でも新たな展開をされている。
 永きにわたって紹介し続けたい作家の1人だ。

□2021年8月2日(月) 牲川にえかわ英雄先生
 展示会は9月4日からの川野恭和展まで夏季休廊中だが、諸々の画廊業務に日々追われている。
 額装のご依頼があり、故・ 牲川にえかわ英雄先生(1905 和歌山県橋本市橋本町に生まれる、1932 東京美術学校(現・東京芸術大学)西洋画科卒業)の30号の遺作に再額装を施し、本日納品に至る。依頼主の女性は「空間が生き返った」と大いに昂奮され、作品も空間も何度でも新しく生まれ変わっていいと思えた時間でした。