ギャラリー日記

□2021年9月19日(日) 今村由男展
 昨日から今村由男展がはじまった。今村氏は、日本における銅版画の第一人者である中林忠良(1937- ,東京芸術大学名誉教授)に私淑し、独学で絵画を学んだ。ヒロ画廊の過去のインタビューでも語っているように美術学校は出られていない。https://hiro-gallery.com/interview/yoshioimamura/ 作家業と有限会社今村由男デザイン室の経営の二刀流が30代半ばまで続き、篠田桃紅(1913-2021)などを取り扱う東京都のトールマンコレクションに見いだされ、作家としてのキャリアを徐々に確立された。一般的な美術家が美術学校で培う技量やネットワークといった部分は、国際展や版画展への精力的な出展や行動力・制作力で補われている。
 今村氏のこういったキャリアは「画家はこうでないといけない」という概念を崩してくれる。それは私たち画廊にとっても「画廊だから、こうでないといけない」という凝り固まったイメージを崩して、刺激を与えてくれる。

□2021年9月5日(日) 川野恭和展
 9月4日から始まった、川野恭和展が盛況だ。川野氏は瀧田項一に師事、その瀧田は柳宗悦やバーナード・リーチと交流のあった濱田庄司に師事しているため、氏も歴とした民藝の思想を繋がれている。清廉とした白磁と落ち着きのあるルリ色の磁器に、温かみのある鎬や面取文様を施して、日常づかいの器作りに没頭されている。
 氏の作品を画廊で初めてご覧になられる方々からは「作家はかなり若い方なのですか」と問われることも多い。氏の年齢は現在72歳であるが、感性自体が元来瑞々しいのかもしれない。今では優秀なご息女方がプロモーションにもかかわり、ウェブ上でも新たな展開をされている。
永きにわたって紹介し続けたい作家の1人だ。

□2021年8月2日(月) 牲川にえかわ英雄先生
 展示会は9月4日からの川野恭和展まで夏季休廊中だが、諸々の画廊業務に日々追われている。
 額装のご依頼があり、故・ 牲川にえかわ英雄先生(1905 和歌山県橋本市橋本町に生まれる、1932 東京美術学校(現・東京芸術大学)西洋画科卒業)の30号の遺作に再額装を施し、本日納品に至る。依頼主の女性は「空間が生き返った」と大いに昂奮され、作品も空間も何度でも新しく生まれ変わっていいと思えた時間でした。